予防接種の全て|赤ちゃんから小学生まで、必要なワクチンと知っておくべきこと

育児

新しい家族を迎えたパパママにとって、赤ちゃんの健康は何よりも大切なことですよね。その中で、避けては通れないのが「予防接種」。定期的に接種スケジュールが届いたり、種類がたくさんあったりして、「どれを打てばいいの?」「いつ打てばいいの?」「何のために打つの?」と、不安や疑問を感じている方も多いかもしれません。

予防接種は、子どもを重い病気から守るために、非常に大切な医療行為です。この記事では、新生児期から小学生になる頃まで、子どもに必要な予防接種の種類や接種時期、期待できる効果、そしてパパママが知っておくべきポイントについて、詳しく解説します。これさえ読めば、予防接種に関する不安が軽くなり、自信を持って赤ちゃんの健康を守れるようになるはず!一緒に見ていきましょう。

予防接種ってなぜ必要?その目的と効果

予防接種は、単に病気を防ぐだけでなく、子どもたちの健やかな成長と社会全体の健康を守るために不可欠なものです。

予防接種の目的

  • 子どもを感染症から守る
    予防接種を受けることで、子どもは特定の感染症に対する免疫(抵抗力)を獲得し、病気にかかるのを防いだり、かかったとしても重症化するのを防いだりできます。
  • 重い合併症や後遺症を防ぐ
    感染症の中には、命に関わったり、脳炎や肺炎などの重い合併症、発達の遅れや麻痺などの後遺症を残したりするものがあります。予防接種は、そうしたリスクを大幅に減らします。
  • 社会全体を感染症から守る(集団免疫)
    多くの人が予防接種を受けて免疫を持つことで、感染症が流行しにくくなります。これにより、病気にかかりたくても予防接種を受けられない赤ちゃんや、免疫力が弱い子どもたちも間接的に守ることになります。これを「集団免疫(herd immunity)」と呼びます。

予防接種の仕組み

予防接種は、病原体(ウイルスや細菌)の一部や毒性を弱めたものを体に入れることで、体がその病原体を「敵」と認識し、攻撃する準備をさせる仕組みです。実際に病原体が侵入してきた時に、素早く免疫システムが働き、病気の発症や重症化を防ぎます。

【専門的視点】
厚生労働省や国立感染症研究所は、予防接種の重要性を繰り返し強調しています。特に、日本小児科学会は、予防接種の「推奨スケジュール」を策定し、子どもたちが最も効率的に免疫を獲得できるよう呼びかけています。

予防接種の種類:定期接種と任意接種

予防接種には、国が接種を推奨し、原則として費用が公費で負担される「定期接種」と、パパママが希望して費用を自己負担する「任意接種」があります。どちらも子どもの健康を守る上で大切です。

定期接種(公費負担)

国が接種を強く推奨しており、対象年齢内に接種すれば原則として費用はかかりません。

  • Hib(ヒブ)ワクチン
    インフルエンザ菌b型による感染症(細菌性髄膜炎、喉頭蓋炎など)を予防。
  • 小児用肺炎球菌ワクチン
    肺炎球菌による感染症(細菌性髄膜炎、肺炎、中耳炎など)を予防。
  • B型肝炎ワクチン
    B型肝炎ウイルスの感染による肝炎などを予防。
  • ロタウイルスワクチン
    ロタウイルスによる胃腸炎(重い下痢や嘔吐)を予防。経口ワクチン(飲むタイプ)で、2種類ある。
  • DPT-IPV-Hib(五種混合)ワクチン
    ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ、Hib感染症を予防。
    • DPT-IPV(四種混合)ワクチン
      五種混合が導入される前の子ども、または自治体の接種体制によっては四種混合の場合もあります。ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオを予防。
  • MR(麻しん風しん混合)ワクチン
    麻しん(はしか)と風しんを予防。2回接種。
  • 水痘(水ぼうそう)ワクチン
    水痘(水ぼうそう)を予防。
  • 日本脳炎ワクチン
    日本脳炎を予防。
  • BCGワクチン
    結核を予防。
  • HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン
    子宮頸がんの原因となるHPV感染症を予防。中学1年生から高校1年生の女子が対象。

任意接種(自己負担)

接種は義務ではありませんが、子どもの健康を守る上で有効なワクチンです。費用は自己負担となりますが、自治体によっては助成がある場合もあります。

  • おたふくかぜワクチン
    おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)を予防。
  • インフルエンザワクチン
    インフルエンザの発症や重症化を予防。毎年流行前に接種が推奨されます。

赤ちゃんの予防接種スケジュール:いつ、何を打つ?

予防接種は、病気にかかりやすい時期や、ワクチンの効果が十分に発揮される時期に合わせて、接種するタイミングが決まっています。生後2ヶ月から怒涛の接種ラッシュが始まります。

【ポイント!】

  • 生後2ヶ月からスタート
    多くの定期接種ワクチンは、生後2ヶ月から接種が始まります。この時期は同時に複数のワクチンを接種する「同時接種」が一般的です。
  • 間隔を守る
    ワクチンによっては、決められた接種間隔(例:27日以上開ける)があります。これを守らないと、十分な免疫がつきません。
  • 早めに計画を立てる
    接種時期を逃さないよう、出産後には小児科で予防接種スケジュールを相談し、計画を立てておくことをおすすめします。

【生後0〜12ヶ月頃】怒涛の予防接種ラッシュ!

この時期は、複数回の接種が必要なワクチンが集中しています。怒涛の予防接種ラッシュです。計画的に予定を組んでいきましょう。

  • 生後2ヶ月〜
    • Hibワクチン(1期初回)
    • 小児用肺炎球菌ワクチン(1期初回)
    • B型肝炎ワクチン(1回目)
    • ロタウイルスワクチン(1回目)
    • DPT-IPV-Hib(五種混合)ワクチン(1期初回)
      ※この組み合わせで同時接種が一般的です。
  • 生後3ヶ月〜
    • B型肝炎ワクチン(2回目)
    • Hibワクチン(1期2回目)
    • 小児用肺炎球菌ワクチン(1期2回目)
    • DPT-IPV-Hib(五種混合)ワクチン(1期2回目)
    • ロタウイルスワクチン(2回目)
    • BCGワクチン(生後5〜8ヶ月未満が標準):結核菌への免疫をつける。腕にスタンプのように接種します。
  • 生後6ヶ月〜
    • Hibワクチン(1期3回目)
    • 小児用肺炎球菌ワクチン(1期3回目)
    • DPT-IPV-Hib(五種混合)ワクチン(1期3回目)
    • B型肝炎ワクチン(3回目):生後7〜8ヶ月頃が目安。
  • 生後1歳〜
    • 小児用肺炎球菌ワクチン(1期追加)
    • Hibワクチン(1期追加)
    • MRワクチン(1期):麻しん風しん混合。
    • 水痘ワクチン(1回目)
    • おたふくかぜワクチン(任意接種)

【先輩パパママの声】
「最初はこんなにたくさん注射打つのかって衝撃だったけど、小児科の先生が『同時接種で早く免疫がつくから大丈夫よ』って言ってくれて安心した。スケジュールアプリで管理してたのがすごく助かったよ。」(1歳2ヶ月のママ)

【1歳〜2歳頃】基礎免疫を確実にする時期

この時期も、重要な追加接種や新しいワクチンが登場します。

  • 1歳3ヶ月〜
    DPT-IPV-Hib(五種混合)ワクチン(1期追加):最後の接種から6ヶ月以上の間隔が必要。
    水痘ワクチン(2回目):1回目から6〜12ヶ月以上の間隔が必要。
    おたふくかぜワクチン(任意接種の2回目)

【3歳以降〜小学生】追加接種と日本脳炎

  • 3歳〜
    日本脳炎ワクチン(1期初回・2回目):定期接種。
  • 4歳〜
    日本脳炎ワクチン(1期追加):定期接種。
  • 5歳〜7歳未満(小学校入学前1年間)
    DPT-IPV(四種混合)ワクチン(2期):ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオの追加接種。
    MRワクチン(2期):麻しん風しん混合の2回目。小学校入学前が標準的な接種時期です。
  • 9歳〜13歳未満
    日本脳炎ワクチン(2期):定期接種。

【専門的視点】
日本小児科学会の予防接種スケジュールは、最新の科学的知見に基づき、各ワクチンの効果が最大限に発揮され、かつ安全に接種できるよう設計されています。このスケジュールに従うことで、子どもは効率的に免疫を獲得できます。

予防接種の効果と注意点:知っておきたいこと

予防接種は安全性が確立された医療行為ですが、効果や副反応について正しく理解しておくことが大切です。

期待できる効果

  • 発症予防
    病気にかかることを防ぎます。
  • 重症化予防
    もし病気にかかっても、症状が軽く済み、合併症のリスクを減らします。
  • 感染拡大防止
    集団免疫により、社会全体の感染症の広がりを抑えます。

副反応について

予防接種後に、体の中で免疫が作られる過程で様々な反応が出ることがあります。これらを**副反応(ふくはんのう)**と呼びます。ほとんどの副反応は軽微で一時的なものです。

  • よくある副反応
    • 接種部位の反応
      赤み、腫れ、しこり、痛みなど。数日で治まることがほとんどです。
    • 全身の反応
      発熱(微熱)、倦怠感、不機嫌、食欲不振など。こちらも数日で治まることが多いです。
  • 稀な重い副反応
    アナフィラキシー(重いアレルギー反応)、けいれん、脳炎など、ごく稀に重い副反応が起こることもあります。しかし、その発生頻度は非常に低く、重い病気にかかるリスクと比較しても、予防接種を受けるメリットの方がはるかに大きいとされています。

【専門的視点】
国立感染症研究所やPMDA(医薬品医療機器総合機構)は、ワクチンの安全性について厳格な審査を行っており、副反応に関する情報も公開しています。重い副反応の発生頻度は極めて低いことが示されており、予防接種のメリットがリスクを上回るという国際的なコンセンサスがあります。

接種前後の注意点

  • 接種前
    • 体調チェック
      熱がないか、元気があるかなど、子どもの体調をよく確認しましょう。体調が悪い場合は、接種を延期します。
    • 予診票の記入
      質問事項に漏れなく記入し、気になることは医師に相談しましょう。
    • 母子手帳の持参
      接種記録のために必ず持参しましょう。
    • 持ち物
      保険証、医療証、お薬手帳(持病がある場合)なども忘れずに。
  • 接種後
    • 接種後30分は医療機関で待機
      稀にアナフィラキシーなどの重い副反応がすぐに現れることがあるため、接種後30分間は医療機関内で様子を見ましょう。
    • 帰宅後の注意
      入浴は可能ですが、接種部位をゴシゴシ洗わないようにしましょう。
      激しい運動は避けて、安静に過ごさせましょう。
      接種部位を清潔に保ち、赤みや腫れがないか確認しましょう。
      気になる症状があれば受診しましょう。高熱が続く、ひどい腫れ、体調が明らかに悪いなど、気になる症状があればすぐに医療機関を受診しましょう。

【Q&A】予防接種のよくある疑問

Q1. 同時接種は本当に安全ですか?赤ちゃんに負担はありませんか?

同時接種は科学的に安全性が確立されており、赤ちゃんに過度な負担をかけることはありません。多くの研究により、同時接種がワクチンの効果を妨げたり、副反応の頻度を高めたりすることはないと示されています。 むしろ、同時接種には以下のようなメリットがあります。

  • 接種回数を減らせる:子どもが注射を受ける回数を減らせるため、負担が少なくなります。
  • 免疫獲得が早まる:複数の病気に対する免疫を早期に獲得でき、病気にかかるリスクを早く減らせます。
  • 接種漏れを防げる:複雑なスケジュールを管理しやすくなり、接種漏れのリスクを減らせます。 日本小児科学会も、同時接種を推奨しています。

Q2. 熱が出たら予防接種は受けられませんか?

はい、原則として、熱がある場合は予防接種を受けることはできません。発熱は、体調が悪いサインであるため、接種による副反応と区別がつきにくくなったり、重い症状に繋がったりする可能性があるためです。接種当日に体温が37.5℃以上ある場合は、接種を延期しましょう。

Q3. アレルギーがあるのですが、予防接種は受けられますか?

アレルギーの種類や程度によります。卵アレルギーや牛乳アレルギーの場合、一部のワクチン(麻しん風しん混合ワクチンなど)に影響する可能性が稀にありますが、ほとんどの場合は接種可能です。必ず事前に医師にアレルギーがあることを伝え、相談しましょう。必要に応じて、アレルギー専門医と連携しながら接種を進めることもあります。

Q4. 予防接種のスケジュールが遅れてしまいました。どうすればいいですか?

スケジュールが遅れてしまっても、慌てる必要はありません。ほとんどの場合、遅れても接種は可能です。まずはかかりつけの小児科医に相談し、これまでの接種履歴を伝えて、今後の接種スケジュールを改めて立ててもらいましょう。接種間隔が調整できるワクチンもありますし、一部のワクチンは打ち直しが必要になることもあります。

Q5. 予防接種後のしこりが気になります。大丈夫ですか?

予防接種後の接種部位に、赤み、腫れ、しこりができることはよくある副反応の一つです。これは、体が免疫を作る過程で起こる炎症反応であり、ほとんどの場合は数日〜数週間で自然に治まります。特にBCGワクチンでは、数ヶ月後に接種部位が赤く腫れ、小さな膿(うみ)を持つこともありますが、これは免疫がついた証拠であり、通常は心配ありません。ただし、しこりが非常に大きくなる、熱を伴う、痛みがひどい、広範囲に広がるなどの場合は、念のため医療機関を受診しましょう。

まとめ

予防接種は、子どもを様々な感染症から守るための、パパママにとってかけがえのないツールです。生後から小学生になるまでの長い期間で、多くの予防接種を受けることになりますが、それぞれのワクチンの目的や接種時期を理解し、計画的に進めることで、子どもの健康と安全を守ることができます。

不安なことや疑問に思うことがあれば、かかりつけの小児科医や地域の保健師、看護師に遠慮なく相談しましょう。専門家のアドバイスを受けながら、自信を持って予防接種に取り組み、お子さんの健やかな成長をサポートしてくださいね。

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